ロード・ダンセイニ(1878-1957)
アイルランドの名門貴族。ダブリン郊外のタラの丘にあるダンセイニ城の第18代城主。
祖父のロード・ダンセイニ卿はイギリス海軍提督でナポレオン軍を迎え撃ったという名門。母方の家系には「アラビアンナイト」のリチャード・バートン卿がいる。戯曲「輝ける門」で文壇デビュー。イエイツやバーナード・ショーらと親交を結んだが文壇論争などとはまったく無縁であった。生涯幻想小説、戯曲、詩集、評論など旺盛に集筆活動を展開。
ボルヘスの言うようにダンセイニ卿の作品はすべて夢の世界に深く根を降ろしている。
ダンセイニ卿は鵞ペンに宿る精霊から降りてくる物語を書き綴った。時には物語の進展に筆が追いつかず妻に口述筆記を頼んだという。
そして遙か前方を照らす光に導かれ精霊の目にするものをすべて見出し、精霊が旅を進める間は更なる物語を携えて帰還するつもりでいる。自伝「陽光の煌めきと影」
ダンセイニ卿は生涯その姿勢を崩すことはなかった。そしてその作品は時代を超えてラブクラフト、ブラッドベリなどの信奉者を生み出すこととなる。
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