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2007年01月01日

「ロリーとブラン」翻訳進行中

ダンセイニ卿の中期長編作品"RORY &BRAN"の翻訳が進行中です。これは「エルフランドの王女」以降、「賢女の呪い」とあわせて、作者の作風の変遷を知る上で大変興味深い作品といえる。
「ロリーとブラン」は知恵遅れの少年ロリーとその親友ブランの旅の物語。牛の群れを導いての早春の旅路の風景が美しい。少年は満月の光の下、美しいヴァイオリンを奏でる旅人に出会う。「自分たちの世界と神秘の間には見えないカーテンが掛かっている。しかしそこには時として裂目ができるものだ」旅人ティンカーがロリーにそう告げる。「ロリーは夜半の草原で牛飼いたちの歌声を耳にする。彼らはひとりひとりローリーのところにやって来て、牛飼いの衣服を脱ぎ捨て、本当の姿を現していく。
この長編小説はダンセイニ卿の中期作品群の中でも、幻想的な描写と美しい文体で傑出した出来映えを見せている。作者自身が全編に詩の持つ高いリズムを維持しようと心血を注いだと評する作品である。 

投稿者 hiro_ga2_91 : 2007年01月01日 22:59

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